青空文庫ビューアー

離れてゆく秋

離れてゆく秋

萩原 恭次郎

かもめはシグナルのやうに飛びふ!

海底に私はれた火薬として沈む!

赤いマストは折れてドテツ腹を突き通してゐる!

君の心臓には黒い無為の切手が刷つてある!

いかりの上らない程の海の憂愁は

幾匹もの魚を胸に泳がせる!

寒流である――――――――● ● ●

はさみで切られてゐる空だ!

握手にのみ充満と爆発はひそむ!

すでに秋は海底から熱情にびをあたへる!

「さようなら!」