青空文庫ビューアー

滅亡の喜び

滅亡の喜び

生田 春月

我がは甘くたるみて

痛むかしらもこゝろよし、

この頭くらく、めくるめくとき、

失ひし楽園は幻に見ゆ。

手はふるひ、足はよろめく

さながら、酔ひどれが

家路へかへるにも似て、

地獄の門に倒れ入らん。

滅びよ、滅びよ、いとしき我が身、

急げよ、たのしき地獄の門へ。

すべてのものゝ存在せざる

其処そこにこそ我が失ひし楽園はあれ。