青空文庫ビューアー

女中

女中

石川 善助

台所は暗くものの焦げる匂ひがした。

前掛ばかり白いをんなのひとは、

一日たわしのやうにれて汚なく、

一日叱られながら働き疲れ、

若さを洗濯板あらひいたのやうに減らすのであつた。

夕暮いつも露路へにじんでくる、

人脂をあぶるやうな重いものは、

その人のいのちが乾いてゆく匂ひであつた。