青空文庫ビューアー

雪夜 一

雪夜 一

三好 達治

雪はふる 雪はふる 聲もなくふる雪は 私の窗の半ばを埋める

私の胸を波だてた それらの希望はどこへ行つたか ――また今宵

それらの思出もとび去りゆく 夜空のかぎり 雪はふる 雪はふる

雪は思出のやうにふる 雪は思出のやうにふる また忘却のやうにもふる