青空文庫ビューアー

想像力の悲歌

想像力の悲歌

中原 中也

恋を知らない

街上の

笑ひ者なる爺やんは

赤ちやけた

麦藁帽をアミダにかぶり

ハツハツハツ

「夢魔」てえことがあるものか

その日蝶々の落ちるのを

夕の風がみてゐました

思ひのほかでありました

恋だけは――恋だけは