青空文庫ビューアー

徒弟

徒弟

今野 大力

いち早く冬の来る北方の街頭に

寒いカラッ風が吹きまくる

或る朝

理髪師の徒弟は店先を掃いていた

店先に一本の街路樹があった

落葉は風になぶられてあちこちに吹きたまる

正直な徒弟は幾度もそれを掃いていた

時が過ぎる

徒弟は街路樹に登った

木葉はもう一枚も街路樹に残っていなかった

徒弟は街路樹をゆすぶり

箒ですっかり叩き落していた

五・一八