青空文庫ビューアー

碇泊船

碇泊船

今野 大力

船腹の色のはげ落ちたみじめさは

遠く波濤とたたかって来た

今は疲労になやんで

ぐったりと体を伸べたような

いたわりの心を感ずる

廃船のようではないか

英蘭イングランドの旗を船尾に立てて

見れば船員が二三人

甲板に出て立っている

あの船員の眼は碧く

頭髪かみは褐色に染み

彼ら異邦を航海する人々

雪降り暮るる港にあり