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あすは、明日は、

あすは、明日は、

ツルゲーネフ イワン

 いかに、わが世の、あだなるや、くうなるや、うつろなるや。げに、人間のあとかたの覺束おぼつかなくて、數少なき。いたづらなるは月日なり。

 しかも萬人は生を惜む。いたく、性命を尊みて、これより、我より、當來より、なに物か、えまほしく、求めてやまず……あゝ、人は、當來に、豐なるたまものを望む。

 さはれ、なじかは、思はざる、當來また過去に似たらむを。

 げに、思はざるなり。考ふるを好まざるなり。此事眞に善し。

『さて、あすは、明日は!』人みな、この『あすは』をもて、自ら慰め、終におくつきの道に降らむ。

 而して、ひとたび、墳塋おくつきのうちに入らば、人の思はおのづからまむ。