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哀詩数篇

哀詩数篇

漢那 浪笛

くらがり

なすによしなき哀れさよ、

早や日数経て、今日けうの日も

くらがりわたる物おもひ。

水や空なる波の上に、

淋しくかゝる綾雲あやぐもは、

やがて消ゆべき希望のぞみかや。

その希望もて吾が道は、

深海ふかみの底の青貝の、

螺線の中のゆきもどり。

物の幾度□貝□葉に、

灰色なせる涙もて、

悲哀の文字を印せしも、

暗き深みのみなぞこの、

声も言葉もかよわねば、

昨日も今日も、かくて暮れゆく。

暮の鐘

灰色の雲かさなりて、

黄昏たそがれは死人のけわひ。

しく/\と泣きいる風は、

谷隈たにくまの底をはひ出で、

黄ばみたる木立はらひぬ。

冷やかな自然よ君と、

今日も又、かくて暮れゆく、

哀音の鐘の響きは、

痛みたる君が胸より、

るる、苦患くげんの声か。

うなだるる眼ひらきて

黄昏の空を仰げば

奥津城の岩のほとりの、

小山なすかばねの上に、

胸もどき声をきゝしる。