かさぬ宿
五里の青野に行き暮れて、
山下街の片門に、
いかで一夜の宿乞ふと
都のなまり、――うらわかき
学生づれの七人は
手にこそしたれ、百合の花。
家の下部が、老い屈み、
嗄れごゑに、竹箒
とる手とどめて物いへば、
二室へだてし簾障子の
奥に乳母よぶ――こは人の
百合の花なる白き影。
親なき君をいつく家の
あなあやにくと、しとやかに
乳母はいなみぬ。よし、さらば、
そのあえかなる君祝ひ
捧ぐと與へ行き過ぎぬ、
七人の手の百合の花。
かさぬ宿
五里の青野に行き暮れて、
山下街の片門に、
いかで一夜の宿乞ふと
都のなまり、――うらわかき
学生づれの七人は
手にこそしたれ、百合の花。
家の下部が、老い屈み、
嗄れごゑに、竹箒
とる手とどめて物いへば、
二室へだてし簾障子の
奥に乳母よぶ――こは人の
百合の花なる白き影。
親なき君をいつく家の
あなあやにくと、しとやかに
乳母はいなみぬ。よし、さらば、
そのあえかなる君祝ひ
捧ぐと與へ行き過ぎぬ、
七人の手の百合の花。