青空文庫ビューアー

(上等兵安藤孝雄を憶ふ)

(上等兵安藤孝雄を憶ふ)

森川 義信

友よ お前は二十歳

ひととき朔北の風よりも疾く

お前の額を貫ぬいて行つたものについては

もう考へまい

わたしは聞いた大きな秩序のなかに

ただ はげしい意欲を お前の軍靴の音を

わたしの力いつぱいの背のびではとどかない

流れよ幅広い苦悩のうねりよ

友よ二十歳の掌のなかで燃えたものよ