青空文庫ビューアー

森川 義信

枯れあしにつつかかり

街燈はぬれてまたたき

霧さへ降つてゐた おそい街のよるだつた

お前は人の歌をそつと歌ひ

お前は思い出したやうに歩いた

僕たちの街と本当に言へただらうか

美しい愛情あいじよう破片かけら

そこにはないてゐただらうか

あきらめたやうに枯れ葉をふみ

街燈のもと深海魚しんかいぎよのやうに

なぜ歌つて歩かねばならなかつたのだらう

そんな僕たちの街ではなかつたか――