青空文庫ビューアー

樹樹

樹樹

森川 義信

つつましい文字のやうにその指を組み

いま じぶんの脚で立つてゐた

空にとどいた梢に

天使のやうな雲がふとつつかかる

花の咲かない樹樹は

そのほそい指のあひだから

おびただしいいのちを零した

38.11.20