青空文庫ビューアー

森川 義信

よりそふ暇もなく

こみあげる約束はうばはれていつた

疲れのやうに

吃つてゐる炎よ

くづれる愛をさらに踏みしめ

時間のかげに身をこがしても

じぶんの力で倒れかかり

義足よ

記憶は埋れ

虚しい体温から

すべての言葉はかへらない

いまは

とざされた扉も消え

匂ひににた沈黙もなく

夜の静脉がかなしく映えてゐる