青空文庫ビューアー

桜間 中庸

 美しい夢を見た。

 清流にかゝつた白い橋の上に私は妹たちと居た。さゞれ石の上をチロチロと流れて行く碧玉の水。私は嵐山かどこかの繪葉書を想つてゐた。

 美しい夢であつた。山路にかゝつてゐた妹たちと兄と私。藤の房があつた。スヰートピーの花のやうな群がりであつた。私は妹のためにその房を、こぼれる花を氣にしながら折つた。

 私は健康である。

 郷里に歸る日の近いせいであらう。かうした夢は兄や妹をめぐるこの嬉しさ。