青空文庫ビューアー

破壊

破壊

加藤 一夫

未来に 黄金世界を 望むのではない

ただ 現在の不合理を、破壊しようとするのだ

私はユートピアンではない

ただ 衝動に聴く男だ

社会制度が 人間の意識を支配するが

そして その故に 今の社会制度を 破壊するが

さりとて 更に善き社会制度を 立てるのが

私の 唯一の そして究極の目的ではない

まず 破壊するのだ すると新しい制度はおのずから生れるだろう

生命は流れる水

制度は 流れゆく水の路―溝 谷 小川 大川

生命は 常にあらたまりゆく

あらたまるごとに 新しい路を拓く

土を流し 小石を押しのけ

岩を砕いて

破壊から 破壊へ

(発表誌不詳 一九八四年五月戦旗復刻版刊行会刊『社会派アンソロジー集成』別巻を底本)