青空文庫ビューアー

春昼

春昼

萩原 朔太郎

萩原朔太郎

うぐひすは

金屬をもてつくられし

そは畔の暗きに鳴き

菫は病鬱の醫者のやうに

野に遠く手に劇藥の

鞄をさげて訪づれくる。

ああすべて惱ましき光の中に

桃の笑みてふくらむ

情慾の一時にやぶれて

どくどくと流れ出でたり。