青空文庫ビューアー

〔われはダルケを名乗れるものと〕

〔われはダルケを名乗れるものと〕

宮沢 賢治

われはダルケを名乗れるものと

つめたく最後のわかれを交はし

閲覧室の三階より

白き砂をはるかにたどるこゝちにて

その地下室に下り来り

かたみに湯と水とを呑めり

そのとき瓦斯のマントルはやぶれ

焔は葱の華なせば

網膜半ば奪はれて

その洞黒く錯乱せりし

かくてぞわれはその文に

ダルケと名乗る哲人と

永久とはのわかれをなせるなり