青空文庫ビューアー

小祠

小祠

宮沢 賢治

赤き鳥居はあせたれど

杉のうれ行く冬の雲

野は殿堂の続きかな

よくすかれたる日本紙は

一年風に完けきと

雪の反射に知りぬべし

かしこは一の篩にて

ひとまづそこに香を浄み

入り来るなりと云ひ伝ふ

雪の堆のなかにして

りゝと軋れる井戸車

野は楽の音に充つるかな