青空文庫ビューアー

電信柱と黒雲

電信柱と黒雲

香倶土 三鳥

 電信柱が寒い風にあたってピーピーと泣いておりました。

 黒い雲が来て、

「何を泣いているのだえ」

「寒いからさ。お前のような雲が来るから寒いのだ。こちらへ来ないでくれ」

「おれが悪いのじゃない。風がわるいのだ。おれは風につれられて来るのだから」

「おれは黒いものが大嫌いだ。この間も鴉がとまって、アホーアホーとおれを笑った」

「それじゃこれはどうだ」

 と言ううちに白い雪をチラチラと降らしました。

 電柱はだまってしまいました。