青空文庫ビューアー

まよわし

まよわし

漢那 浪笛

わが思ふひとありやなしや。

まよわしきかな。

夕暮の窓にもたれて、蒼白あをじろき息ふく

われも、またありやなしや。

あな、うたがわし。

蚊のなく声を、君がかなしき唄とや

きかむ。

柔風なよかぜの木の葉にすがる、たわふれを、

君が鬢のほつれとやきかむ。

淋しき夕べの鐘もきこゆ。

森のかなた、君住むほとの頭りにや

あらむ。

今なり、われは独りさ迷ひゆかむ!

ゆふべの鐘をしたひて

その音に耳をしづめて。