青空文庫ビューアー

最後の丘

最後の丘

漢那 浪笛

なつかしい丘の上、

棕呂の若葉のそよぎに、小鳥の唄。

傾むきつくす夕月も、

見る/\最後の接吻キツスを残して、

深い々々、海のかなたへ

去らうとする、

なつかしい丘の上に、Kの君を持つ心よ!

夢を語るやうな春の風に

顫へる。

葉ずれの音にが狂へば、

西へ東に、足が動きだす………………

夫れと思ふ俤が、更ににとまらぬ。

胸を抱いて、若かい悲しみに沈む。

林の間に、夜の色が浮び出した。――

黒ろいおそろしい影は

私の魂を厭し始める。

もう是れが私のKの君に対する最後だ!