青空文庫ビューアー

漢那 浪笛

記念のための瀬戸焼の盃、

淋しい日の慰めに、とり出して、

泡盛をつぐ。

うつはの色も影も変らない、

酒の味ひも、

あゝ思出多き記念の盃。

底に沈んだ私のふけた顔、

ひよつとのぞくと、

思はず手掌がふるへた。

記念のための瀬戸際の盃、

私は君を手にして、

喜びと悲しみの二つ味ふ。