青空文庫ビューアー

棕梠のそよぎ

棕梠のそよぎ

漢那 浪笛

黄ばんだ一本の棕梠、

痛ましく裂けた葉のそよぎ。

冷たい秋の空気にふれて、

かなしい秋、調べをきざむ。

淋しい心の華が開き、

灰色の眼をあげて

なつかしい譜の鳴る方へ、

絶えず懐ひが、

躍り出す。