青空文庫ビューアー

かの日の歌【三】

かの日の歌【三】

漢那 浪笛

     ◉

温たかき玉は、君が手より、

すべり落ちぬ。

その玉は他人の手に握られ、

楽しき夢路をたどるなり。

   あゝ君は淋しき人なり。

   君はいや更に悲しめ!

   もだへ、苦しむは君のさがなり。

ぬめらかなる玉は、すべり安く、

ふしくれだちし手には、

あまりに痛ましく、たへがたく――

すべり落つるも、ことわりなり。

   あゝ君は淋しき人なり。

   君はいや更に悲しめ!

   もだへ、苦しむは君のさがなり